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敷地を読む

以前のリノベーションの時にも、敷地(現地)に必ず行き心地いい空間を考えるという話をしたのですが、今回は特に窓の決め方について書こうと思います。

町を歩いていたりすると、何故ここに窓をつけたのだろうと不思議に感じる建物に出くわすことがよくあります。

道路側に大きな窓を設けて、常にカーテンを閉めないと生活できない家等は特に目につきますし、隣の家とギリギリまで近づけて建てて、隣家の窓と正対するように窓を設けているような家も残念ながら見かけます。

設計をしている身からすると、この設計者は敷地に来た事がなかったのだろうか?と想像してしまいます。

(実際には、敷地を見ていたものの、建築基準法上の採光や換気を確保するためや、未だに世間的に根強い南側に窓を設けることが正解であるといった既成概念に囚われた背景があるのかもしれませんが、)

 

私が建物の設計を行う際には、必ず周囲の建物の窓の位置までプロットした図面や高さ関係を確認するための模型等を作成し、窓の位置や部屋の配置を慎重に決めていきます。

そのように、窓の位置や大きさを工夫した新築住宅の事例がこちらです。

敷地の2方に建物、1方がマンションの駐車場という周辺環境であったので、吹抜けを設けて上部から光を取り込んだ計画です。

吹抜けの位置に写真正面の家のバルコニーがあったのですが、せっかくの開放的な吹抜けも生活感のある風景が目に入ると台無しなので、キッチンやリビングからは見えないように窓の位置を決めました

些細なことですが、こうした気遣いがこの家で住まわれる方の日々を豊かにするのだと考えています。

 

こんな風にぼんやりと空を眺めて1日過ごしていたいなーと常々思います。笑